着物のカビの予防法と取り方をご紹介!
大切な着物にカビが発生してしまうと非常に悲しいですね。
ここでは、着物の天敵「カビ」が発生する原因や、予防策について解説します。
また、既にカビが発生してしまった着物については、ご自宅でできるカビの取り方・落とし方を紹介したいと思います。
「色合い」によるカビの進行度の見分け方
着物に発生したカビの繁殖がどの程度まで進行しているかを見分ける為には、カビの「色」を観察して判断するのが確実です。
着物に繁殖するカビは時間経過によって「白」→「黄」→「黒(こげ茶)」と色が変化します。
発生から時間が経つほどカビは根深く、生地に浸透するように繁殖し、除去・清掃する難易度も増していきます。
とはいえ、既にカビが生じてしまっている着物であっても、発生から長期間経っていない「白カビ」の状態ならば、応急処置的なクリーニングで一定の改善が期待できます。
しかし、長期間放置され続けて、生地に浸透するように固着し根深く居着いてしまっている黒・こげ茶カビのような場合は、除去することはもちろん、カビを目立たなくする応急処置すらも諦めざるを得ません。
ここからは、着物に繁殖するカビの状態を色で見分けて「白カビ」「黄カビ」「黒カビ(こげ茶カビ)」の3種類に分けて、それぞれの繁殖の進行状態について説明します。
また、それぞれの状況において可能な解決法・対策を紹介していきます。
白い斑点が浮き出ていたら白カビ
着物に白い斑点として浮かび上がるのが白カビです。
この場合、着物を包むたとう紙が黄色く変色しているはずです。
たとう紙は、カビ防止や型崩れを防ぐために着物を包んでおく、吸湿性に優れた和紙です。
たとう紙は吸湿量が増えるにつれ、黄色く変色していきます。
たとう紙の黄色への変色は、いわば「もう吸湿できないから交換して!」という、SOSの信号です。
たとう紙は1枚数百円で購入できますので、できれば年2回の交換をおすすめします。
白カビに関しては早期発見ができれば、まだ比較的、カビは落としやすい状態です。
通常の着物クリーニングサービスに出せば、有機溶剤によるドライクリーニングで、白カビは綺麗に除去されます。
これは「丸洗い(まるあらい)」という洗浄方法で、大方10,000円前後で利用可能です。
黄カビまで至ってしまったら「洗い張り」を
白カビを数年間放置するとカビは黄色味を帯びて「黄カビ」となります。
白カビよりも一層頑固で根強い「黄カビ」の繁殖まで至ってしまったら「洗い張り(あらいばり)」という作業が必要となります。
洗い張りは着物を縫い合わせている糸を一度全て抜き、反物の状態にしてから洗って、再度仕立て直す方法です。
洗い張りの価格は反物の状態にするだけなら20,000円程度、反物の状態にしてから再仕立て(縫い合わせ)まで依頼すると約100,000円かかることもあります。
帯からカビ臭を感じた時の対策とは
意外に多いのが、見た目にはカビが発生していないのに、帯からカビ臭がするというケースです。
帯からカビ臭がするという場合、「帯芯」がカビている可能性が高いです。
帯芯は、帯の内側に縫いつけられていて、帯の硬さを調節する布地です。
帯芯は帯の内側にあるため、陰干しでは湿気を完全に取り除くことが難しく、カビが発生しやすい部分となっています。
しかも帯芯は、帯の内側に隠れており、見た目ではカビが生えているのか判断できないので、カビ臭の原因が分かりづらいのです。
帯芯がカビている場合は、帯芯を取り出して洗い張りやカビ取りを試してみましょう。
それでもしつこくカビや汚れ、臭いが残る場合は、帯芯を取り替えるしかありません。
帯芯取り換えは、材質などの違いから価格に幅があり、帯芯と作業の代金を合わせて3,000円~8,000円程度です。
カビが発生する前に知っておきたい予防法
着物のカビ対策で最も重要なのは、カビが発生しないように予防策を講じることです。
カビの発生を予防する上で最も重要なのは、着物を湿気にさらさないことです。
ここでは、ご自宅でできる着物の湿気対策についてご紹介します。
着物を脱いだら収納する前に陰干ししましょう
着用した直後の着物は、汗や空気中の湿気を多く含んでいます。
そこで、桐箱などに収納する前に必ず、風通しの良い室内で半日ほど陰干しをしましょう。
直射日光は着物の変色を導く恐れがあるため、陰干しにしてください。
また、陰干しの際に着物にシミや汚れがついていないか、こまめにチェックすることも大切です。
シミがついたまま保管してしまうと、時間の経過とともにシミが定着して落ちにくくなってしまいます。
自分で対応するのが難しいような激しい汚れは、陰干し後に着物クリーニングに出すようにしてください。
たとう紙に包んで保管
着物の保管というと桐たんすへの収納が一般的ですが、桐たんすは高価なものです。
比較的安価に手に入る、プラスチックの衣装ケースなどでも着物を保管することは可能です。
また、着物を収納する際には必ずたとう紙に包むようにしてください。
ただし、たとう紙を長く使っていると、湿気を吸ってふにゃふにゃになったり、黄ばんできたりします。
たとう紙の変形・変色は、たとう紙が劣化しているサインです。
たとう紙の汚れや黄ばみは着物に付着して、汚れを着物本体にも移してしまうことがありますので、定期的に交換しましょう。